「周りのみんなが理解して、能力が伸びていく中、自分は成長できていないことが辛かった」
「……」
「置いていかれる恐怖心…焦り…頭が狂いそうになった」
「……なんで相談してくれなかったの?」
尚がそんなに追い詰められていたなんて…気づきもしなかった。
「美緒も…真面目に大学に行って夢に近づいていく…何も言えねーよ」
「……」
あたしは何を見ていたんだ…。
尚のどこをみて恋をしてたんだ…。
「あの時…この町に行こうって誘った時…悩んでたんだね」
「ん…知らない場所に立ってみたくなった。
なにも知らない町なら…なにも考えずに美緒に相談できると思った」
尚の言葉を聞いた瞬間、あの時の自分の選択に悔いた。
なんで…あの時、この人の苦しみに気づいてあげられなかったんだ…。
あの時気づいていれば…