「なんで…あんなに医者になりたがってたじゃない…」



…………_____________


『ねぇ、尚』



『なに?』



『なんで尚は医大に入ったの?』



『俺、小さい頃怪我して入院した時あってさ、退屈でいつも窓から外を眺めてた』



『うん』



『でもそんな時、いつも看護婦さんが遊び相手してくれて、それがすっげー嬉しくて俺絶対将来医者になろう!って思ったんだ!」



『…ねぇ、普通はさ、そこは看護士になりたいんじゃないの?』



『あ…』



『本当っ!尚って抜けてるね(笑)』



『抜けてねーよ!』



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まだ付き合ってた頃に彼が話してくれた夢。


キラキラした目で話してくれた夢。



それを…




「なんで?」



「…今さらって思ってしまうかもしれねーけど、美緒と別れる少し前から考えてたんだ」



「……」


驚いて声も出ない。




「医者になれなくなるのが怖かったんだ…」



尚は悲しそうに笑って言った。