ホテルを出た後、俺は車を置いて駅前まで出た。
車は後で佐々木にでも頼もう。


さすがに飲酒して、車乗るほどヤンチャな歳じゃない。

俺はもう、20になっていた。


15の時、社長に拾われてから。



…今頃回ってきたのか。


さっきのワインが、ぐるぐると俺の体内を巡る。
フラフラしながらも寮に向かって歩くと、俺の頬にぽたりと雫が落ちてきた。


ゆっくり空を見上げると、またぽたりと俺の顔に雫が落ちる。


「…雨か」


その後、どうやって寮にたどり着いたのかは記憶にない。


だけど、目覚めると俺はベッドできちんと寝ていたし。
雨に濡れたから着替えもしていたし。


ベッド脇には車のキーと液キャベがあるから佐々木が車を持ってきてくれたんだろう。
丁寧に液キャベまで。


昔から二日酔いはしないんだけどな。
佐々木、知ってるはずなのに。


やはり、佐々木は俺が嫌いなのか。
……まあ、いいか。




好きよりも、嫌いの方がよっぽど楽だ。