姿勢を正し、今か今かと待ちわびていた。

遠くから彼が駆けてくる音が聞こえる。

あっと言う間に私の目の前にはアナタの姿。

『逢いたかった』

私の言葉はアナタに通じないけれど、アナタは柔らかく微笑む。
そして私の顔に吸い付くような、深いキスを繰り返した。

美しいアナタは私に寄り添い、何度もキスをする。

唇が触れると痺れるような快感が走る。

全身で彼を感じた。

目を閉じて、甘美な感覚に身を委ねた。



暫く続くと思われた幸福な時間は、ふいに終わりを告げた。

目を開けると彼はいない。

『……どこへ行ってしまったの?』

いやな予感に身体が震えた。


バツン。

大きな音と共に、私の意識は飛んでいった。