真夏の暑い日射しが照りつける。


私は太陽に向かって顔を上げた。

『やっとアナタに逢える』

誰にも聞こえないことは分かっていても、呟いてしまった。

普段は誰も見向きもしない位に平凡な外見。
短い期間だけど一年の内、一度だけ。
一番綺麗でいられる時期になった。

毎年訪れるこの季節。
何度も生まれ変わり、何度も逢瀬を重ねた。
彼と私。



誰にも邪魔はさせない。

二人だけの限られた時間。

動けない私はここで、ずっと彼を待ち続ける。

早く逢いに来て。
そして私を求めて。

今年も完璧よ。
彼の好きな淡い香りを身に纏い、期待に胸を膨らます。

瑞々しくしなやかな手足を、風に合わせて揺らしてみた。

優雅で綺麗なアナタに早く逢いたい。
今年もアナタの為に、頑張って綺麗になったのだから。