王子の傷ついたままなんだ。

何よりも大切なものが、


自分の不注意で傷ついてしまったこと。


そして、受けた拒絶。

それが、トラウマになっていて、

再び同じことが起こるのではないかという不安。


目に見えない凶器に王子は傷つき怯えているのだ。


『俺も、もう限界だと思うし、、』


深沢がそう言っていた。


王子と付き合うということは今の彼ごと全部包めるだけの覚悟が必要なのだ。


あたしにできるだろうか。


あたしは深沢宝の方を振り向いた。


深沢が意地悪そうな顔してあたしを見ていた。


『お前に出来るの?』


そう言われているような気がして、ムっとした。


あんたが小学生でやってたことがこのあたしにできないとでもいうの?

という顔でにらんで、


「そんなことは、つき合ってから考えることです。」


そう言い放った。