「俺はヒ-ロ-じゃないよ。」


「うん。恋人だよ。」


「ごめんな。一緒に連れていける大人じゃなくて。」



「子どもって悲しいね。」


「俺、穂香ちゃんが好きだよ。これから出逢う誰よりも。いつか浚いに来るよ」


「うん、待ってるよ。」


あたし達はそこで別れた。


宝君はタクシ-で空港へ向かい


あたしは持ち主を失くした一人ぼっちの部屋で


ゴロンと横になりながら宝君との思い出をたどっていた。