あの事件でダメ-ジを受けたのは、


当事者の穂香ちゃんより健一だった。


穂香ちゃんが助けに入った俺以外の全てを拒絶したからだ。


穂香ちゃんはすぐに回復したが、健一は長い間不安を引きずっていた。


全てクリアになったのは、高2の夏だった。


そんな時、事件の当事者の紬が戻ってきた。


よりによって同じ高校に、実際俺は焦った。


遠縁とはいえ、親戚であることが穂香ちゃんと健一に知られたくなかった。


二人に依存されることに自分を見出していた俺にとって、


紬の存在は鬼門だった。