紬君は知ってたの?

あたしの心の動きに気が付いてたんだ?

だから指輪くれたの?


「紬君、あたし、ずっと紬君が好きだったんだよ。」

右手に指輪外して紬君の前に置く。


「10年、あなたがいたから、笑顔でいられたの。

 宝君がいなかったら、あたしはきっと紬君と上手くいったかもしれない。

 そう思った時もあった。

 でもね、  

 宝君があの時紬君を止めてくれなかったら、

 あたしは、今こうして、笑ってここにはいない。

 あの事は過去の話。

 だから今のあたし達にはもう、大した事じゃないの。

 でもね、あの頃のあたし達には凄く大きな事件で、

 あれをきっかけにあたし達の歯車は動いてしまった。

 あたしと紬君の間には宝君がいて、それはきっと一生変わらない。

 紬君あたしはとっくに許していたのよ。

 でも、そうさせてくれたのは宝君で、お兄ちゃんで、あたしを支えてくれた人

 達のおかげなの。

 紬君の事は大好き。


 だけど、


 あの事件に関係なく、

 
 傍でささえたいのは、宝君なの。」