宝君は、静かに目を閉じて


「ごめん待たせすぎたよね。」


そう言ってあたしの唇に


何度も優しくキスを落としてきた。


キスに翻弄されそうになる。


もう一度重なろうとした唇を避けて


「こ、こんなことしたって駄目なんだからっ。」


「意地っ張りだねお姫様は、10年たつと臍の曲がり方も半端ないね。」


「何言ってんのよ。」


「知ってるよ、紬だろ。


 そもそも、右手の薬指に拘束力はないでしょ?」


くすっ


/////~っなによ何もかも見透かしてるような顔して!


「宝君の馬鹿っ、大嫌い!」


自分でも嫌になる位、子どもっぽい意地を張った。