『なんだよ、直美も試食好きかよ~』


『試食は好きだけど、新吾みたいに催促までしません』


全く!どこまでいやしいのよ!

『試食なんて1コ食おうが100コ食おうが一緒だろ』


全然違うだろ~!


『はぁ…。買い物して帰るよ!』


『待てよ、今オバチャンが焼いて――――』


彼の言葉を無視して彼の手を引いて、その場を離れた。


『お、おい……。試食、食うのは恥ずかしい事じゃないぜ?直美だって買い物終わって時間つぶしに試食来たんだろ?』


うっ…………。

コイツやるな…痛い所、付きやがって…。

負けてたまるか!

『私は、あくまで試食なの。新吾のは、もう試食の範囲越えて、食事になってるの。わかる?試食と食事の違い』



『試食だろ?わかってるよ』


…………お前の試食は、どんだけ食って試食なんだよ…。