「...知り合い?」

ずっと黙って見ていた実織が私の顔を覗き込む。

「ううん。知らない」

なんとなく顔は見たことあったけど。

「たしかあの人、あたし達と同級生だよ」

「ふーん」

「まぁ、どうでもいいや。行こう」

実織が私の手を引っ張って歩き出す。









友達が多い実織でさえ知らないってことは、あんまり目立たない人なんだなぁ。

玄関で靴をはきながらのほほんと「さっきの彼」のことを考えていた。

髪がすごく綺麗な人だった。
前髪は少し眉毛が隠れるくらい。
髪質はふんわりとしているのにサラサラ。

背も高かったな。
ぶつかった背中、広かったし。

それに目がキラキラしてて...


「亜弥っ!」

「は、はいっ」