聞き覚えのある声に振り向くと、

その人は玄関の前でぶつかった「彼」だった。


同じクラスだったんだ...。



「部活は陸上部です。
えっとぉ.....まぁ、一年間.....うーん...楽しみましょうっ」

彼は最後のあいさつがなかなか思いつかないようだった。


「蒼士なんだよそれー」

男子から声があがりみんながドッと笑う。

そのことに彼は照れながら席に座る。

確かに、「一年間楽しみましょう」って...
変なの。

くすっ

私も自然と笑ってしまった。


「南崎蒼士」って名前なんだ...。

思ったより目ちっちゃいんだ。

やっぱり背が高い。

陸上やってるんだ、なんの種目だろう。



私は研究者のように「彼」を観察していた。






なんだか、知りたくなったから。