無事(?)に入学式も

終わり


新入生は

それぞれのクラスへと

ちりじりになった。



春木は


1-Aの教室に向かい

廊下を歩いていた。


何十人もの生徒たちと

廊下をすれ違った。



そんな中

『彼』が廊下を歩いて

くるのを見つけると

自然と足が止まってしまった。



そんな春木に気付いて

顔を上げた『彼』が

にこっと笑いかけてきた。



「先生。

さっき僕の事

見てましたよね?」



そう言った彼の言葉に

春木はバツが悪そうに

答えた。



「ごめん…。

嫌な感じしただろ?

何か見とれちゃって。

って別に変な意味じゃ

ないぞ!


とにかく、あの…。」



「別に嫌な気なんて

しませんでしたよ。


むしろ好意を感じました。


ちなみに

先生は僕のクラス担任

ですか?


それとも

別のクラスの?」



穏やかに答える『彼』に

圧倒される春木である。