「よしっ……と、これで大丈夫だ。次からは気をつけろよー」
「ニャー」
そこにいたのは、足に怪我をした猫とその子に包帯を巻いている金髪の不良っぽい格好の少年。
どこぞのベタな少女漫画かとつっこみたいが、彼にとってこれは日常茶飯事なのだ。
隣にいる美咲ちゃんの「ベタだ……」という呟きを無視して、私はその彼の所へと向かう。
「――っ 松下さん!」
「ん?……あ、千秋ちゃん」
こないだぶりだねー、とへらっと笑う松下さんに、私の心臓は大きく高鳴った。
あぁもう、この人可愛い!
二つも年上の人、しかも男の人にこんな言葉は失礼だとは思うけど。
彼がしゃがんでいるせいで今は私が見下ろす形になり、自然と上目遣いになってて、無邪気な笑顔がすっごく可愛い。
(うぅ、見た目はどうみても格好いい系なのに……っ)
私が一人で悶えていると、不思議に思ったのか松下さんが立ち上がって私の顔を覗き込んできた。
ちょ、近い近い近い!
「千秋ちゃん、大丈夫?」
「だだだ大丈夫です! なんともありませんから!」
「そう? 顔赤いけど」
あなたの顔が近いからです。……なんてことは言えずに、私はただ大丈夫です、と繰り返した。
すみません誰でもいいからこの状況なんとかしてください心臓壊れる!