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「山南敬助。脱走により士道不覚悟とし、切腹を命ずる」


部屋に通された山南に言い渡された、処刑の報告


「承知…」


小さく答えた山南は、その後直ぐに切腹を行った


介錯、沖田総司


享年33


潔く、穏やかな最後だった

***

その後、西本願寺移転と共に


伊東一派が新撰組を離隊という形で、去っていった


そのなかには、藤堂と斎藤の姿もある


長い時間共に新撰組と過ごしてきたが、思想や志の違いを目の当たりにしての離隊ということで話はまとまったらしい


もちろん、そのことで隊内は揺れた


予想もしていなかった藤堂、斎藤の離隊


これからは彼らは御陵衛士として、天皇の菩提を護ることとなる


そのため、新撰組と御陵衛士との接触はもちろん禁止された


もう会っても声すらかけられない


「くそっ!!」


ドスっと重い永倉の拳が、屯所の壁に打ち付けられる


皆、同じ気持ちだった


突然のことに、やり場のない動揺が隠しきれない


「山南さんは切腹して、今度は平助と斎藤までいなくなるのかよ!?」


「……いなくはならねぇよ。平助と斎藤はな」


冷たい土方の声に気づいた永倉は、キッと睨み付けた


それはまるで恨んでいるかのような目


「…山南さんは戻ってこねぇんだぞ?それで平気なのかよ?」


興奮する永倉は、次の瞬間


土方の胸ぐらを掴んだ


でも、動じることなく


土方は受けとめた


「局中法度が有る限り…幹部も切腹だ」


「んだと!?てめぇ…「やめてください…二人とも」


やっとのことで、沖田が止めに入った