「…脱走って……そんな!じゃあこれは…」


真っ青な顔で、碧は握りしめていた何かを沖田に手渡す


「なんですか?これは」


「山南さんから先刻渡された文です…。沖田さんに渡してくれって頼まれて……」


「――!!」


無我夢中になって、沖田は折られている文を開いた


そこに書かれていたのは…


――――――――――


――――――


――……


私に居場所などない



近藤さん、土方さんは変わってしまわれた



沖田君



君は変わっていないつもりだろうが



君も十分変わってしまったよ



強くなるため剣術をしてきていた



でも、もう十分強くなった



これからは、その刀を人を斬るためではなく



人を守るために使いなさい



それはきっと、君にとっての幸せになる



またあの笑顔を見られることを願って



――山南敬助