宴会が始まると皆、羽目を外したかのように騒ぎ始めた


碧は少し沖田が気になり視線をやると、先ほどのことなど想像のつかないくらい楽しそうにしている


そんな姿をみて、寂しくなったのは当たり前だ


しかし、ここでもあの人は碧から視線を外さない


「春日君!…伊東さんのもお酌してくれるかね?」


いいタイミングで近藤に声をかけられてしまう


「は、はい!ただいまっ」


しかし、動揺を隠すように精一杯の笑みで答える


伊東の隣に膝をつき、お酌をする…


こんな単純なことでも、手の震えは半端じゃない


「ん?どうしたんだね、春日君」


心配そうに声をかけてくれるのは近藤さん…


でも、その後ろで何かを察したように目を光らせているのは土方だった


「いえ、大丈夫です!何にもありませんので!」


いくら考えても何かあったようにしか見えない碧の姿に、益々、近藤は首をかしげる


「いいじゃねェか、近藤さん。本人が何もねェって言ってんだから」



「そうは言ってもなぁ…俺はしんぱ…「近藤さん、話の続きを致しましょう」


伊東の何気ない一言で、近藤は碧から視線を外した


それを機に、碧は宴会場を出る


――どうなるかと思った…


すっかり青ざめてしまった碧の顔は、まだ恐怖に怯えている


「おい、春日」


――!!!!


碧の背後から自分の名を呼ぶ声がする