――沖田さん!


碧の目に写ったのは、血相を変えた沖田の姿だった


沖田が来たのに驚いたのは、碧だけではない


急に伊東の力が弱まった


――今しかないっ


そう思い、碧は伊東から離れる


「…あなたは確か、沖田総司さんよね?」


にっこりと微笑んでいるつもりだろうが、伊東の笑みはひきつっていた


「…もう名前と顔を覚えて下さったんですね」


「えぇ、もちろん」


そんな会話をする2人の姿でさえ、碧は恐怖を覚える


――誰か呼ばなきゃ!


そう思い、碧は態勢を変えようとしたが…



「今まで何をしていたんです?」


沖田の問いかけにピタリと止まってしまった


「自己紹介で…「黙っててやるから、今すぐ立ち去れっ!!!」



――っ沖田さん!?


伊東の嘘としか考えようのない言い訳に腹が立ったのか…、それともさっきの状況に怒りを覚えているのか分からないが…


普段の沖田とはうってかわって、怒鳴った



その姿に碧はただただ呆然としてしまう


碧の視線に気づいたのか、伊東の行った角を睨んでいた沖田が振り向いた