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「ねぇ、碧さん…。少しこちらに来ていただけます?」



「えっ…」



なんとか宴会の準備を終えたところで、伊東に呼び止められる



彼は中庭で1人、佇んでいたようだ



何をされるか分からないまま、碧は伊東の側へ寄った



「どうかしましたか?」



そう尋ねると同時に、伊東は碧を近くの壁へ押しやった



――っ!?!?



男女の差なのか…



碧はまったく抵抗できない



押し寄せられ、だんだん2人の間が縮まる



「…貴女はとても美しい存在ですわ。なのに何故こんなところに?」



彼の吐息が彼女に触れた



一瞬、ビクッと身震いしながらも碧は答える



「彼たちの…新撰組の運命を変えるためです!」



「…運命を変える?……あなた、一体何を知っているのかしら?」



眉間にうっすらと刻まれている皺は、碧を疑っている証



絶体絶命だった