「あ、ちょっ!」



碧が驚くと同時に、土方が姿を現した



「春日ァ…総司はどこだ……って、聞かなくてもいいか」



それだけ言うと土方は薄く笑みを浮かべ私の背後へ回った



「おい総司!隠れられていねェことぐらい分かってるくせに!俺に見つからないとでも思ってるのか!!!」


「いいえ、思ってませんよ」



冷静な沖田の声に、土方は黙った



だが、



「ならどうして、俺の発句集を返さねェ?」



再びの喧嘩の始まりだ



「読みたいからです!ほら、春日さんも興味があるらしいですし」



「え」



彼らのやり取りに気をとられていた碧は、気の抜けた声を出してしまった



「んだと?…そうなのか、春日!」



「い、いえ!違いますっ」



慌てて首を横に振る碧だったが…



沖田が期待の眼差しでこちらを見ていることに気付いてしまった



――!沖田さん、ズルいっ


まあ、その眼差しに勝てる訳がなく…



「…はい、興味があります」



言わざるを得なかった


ますます土方の眉間の皺が濃くなってゆく