***
しばらくして――



遊郭へと出向いていた彼らが帰ってきた



「おかえりなさいませ!」



碧はそう、玄関で出迎える



「留守を任せてすまなんだ。異常はなかったかね?」



ぽんっと碧の頭に軽く手を乗せ、尋ねる近藤



ふと、そんな彼の仕草に碧は父を重ねていた



「む…?どうしたのかね、春日君」


でも、今の私の目の前にいるのは新撰組局長だ



心配そうに碧を覗きこむ



「あっ…いえ!」



自分の考えていたことを立ち切るようにして、碧は首を振った



「そうかね…?」



未だに心配そうな表情をしたまま、近藤は屯所へ入って行った

***
そのあと


広間では今後の予定が組まれていた


…彼らの話では


近くに討幕派である長州が、再び京へ出向くらしい


もしかしたら


――戦


彼にとっては当たり前のことでも


碧にとっては初めてのことである