「………」



話したいことがあるらしい斎藤だったが……




――っ喋らない!?




すぐには話そうとしなかった




――言いにくいことなのかな…?



そう思い、碧が口を開きかけたとき、



「なぁ、春日」



「っ!はい!!」



「お前は、いつまでここに居るのだ?」



「え…っ」



思いがけない質問



元はといえば、彼の生きた時代を変えたいという願いでやって来たけど…




――そんなこと言ったら「無理だ」で終わっちゃうよね



どう答えればいいのか分からず、碧はだんまりした




「……まあいい」



そう打ち切って、斎藤は続ける



「俺の考えだと、京はすぐ戦になるだろう」



「戦…ですか?」



あぁ、と頷く斎藤の目は冷ややかだ


「そうなると、未来から来たお前自身もどうなるか分からん…。もしかしたら戦死「私はっ!…死にません!大切な皆さんを置いて死ぬわけにはいかないんです!!」


言い切ると、碧は斎藤に謝った



「す、すみません!…私、ついっ」



「大切な皆さんを置いて死ぬわけには…か」



ふっとこぼした彼の笑みは、本物だったと思う



中庭に吹く風が彼の長い髪を靡かせていた



「そこまで言うなら…、お前はここにいるといい」


「……はい!」



「いるといい…というか、いてくれ」



――ん?……なんか斎藤さんの顔が赤い?


「斎藤さん。もしかして照れてます!?」


「照れてなどいない!」



そう言う彼の顔は赤かった



穏やかな時間


笑顔が重なるとき


そんな時間も僅かなんだって…


まだ誰も知らなかった