その理由、とは言いがたいが…


この時期


幕府では大政奉還が成された


260年あまり続いた徳川の世に終止符が打たれたのだ


そのせいか…


近藤の空元気が続いている


「……移転に決定なんですか?」


「そうみたいです。なので早々に支度を始めないと…」


沖田の部屋


西本願寺屯所の一番東方奥にある


そこで彼は療養していた


「それでは私はまた…皆さんに迷惑をかけますね」


「め、迷惑だなんて!皆さんずっと一緒ですよ!」


落ち込んだように肩を縮める沖田に、碧は声をかけた


そのとき、沖田が恥ずかしそうに頬を赤らめる


――?


不思議に思い、碧が覗き込むと…


「碧……ずっと傍にいてくれるよな?」


「っ!……うん」


いきなりの呼び捨てとタメ……


そんな突然な彼に碧はもう追い付けないでいる


「こんなことで恥ずかしがっているようだと…」


笑みを深くして、沖田は碧に囁いた


「これから先、持たないぞ?」


その彼の望みに従うほかない