「そのこと、近藤さんたちには?」



「…伝えてある……だが…」



言いにくそうに眉を潜め、斎藤は黙りこんだ


そんな彼を疎ましく思った沖田は、刀を片手に部屋を出ようとする


だが…


パシッと勢いよく捕まれた腕は、動こうにも動けない



「何しているんですか?…近藤さんを暗殺して新撰組を乗っ取ろうだなんて……許せません」


キッと斎藤を睨み付けた沖田は、尚も静かに怒りをみなぎらせている



「……総司は屯所待機だ」


「何故…?なんで僕は屯所待機なんです!?」


「………局長と副長からのご命令だ」


それを聞いた途端、沖田は力が抜けたようにその場にしゃがみこむ


「総司っ!」


慌てて手を貸そうと斎藤が、傍に寄る


でも、沖田は静かに拒否した


次第と自分の視界が崩れていく…


「……っんでだ…なんでだっ!どうして僕ばかりが!!」


恨んでも恨みきれない


どうしようもない複雑な心境だけが、彼の心に渦巻いていた


死へと近づく我が身に、歯止めが効くはずがない