「……今すぐこの時代から離れてください」


一瞬、時が止まってしまったように静まる


視線を游がすこともなく、沖田は真っ直ぐに言った


「元の時代に戻れってことですか…?」


「春日さんにとって、過去にあたる今を変えられないのならば……。邪魔者なんです」


言い切ると沖田は布団を被って、そっぽを向いた


布団を被ぶる隙間から、碧の声を殺してなく様子が分かる


小刻みに小さい肩を揺らし、必死に声を殺す


――しばらくたつと、


碧は部屋を出ていった


沖田を起こさせまいと、気を使ったのだろうか


静かに障子を開いていった


「……行きましたね」


誰もいなくなった部屋に1人、沖田は呟く


「本当にそんなこと思うはず無いのに……」


――春日さん


――僕の本心は…本当は………

***

頬を伝う涙が冷たい


いけないとは思うのに、涙が止まらない


――ねぇ、沖田さん


――あなたを囲う壁が憎らしい…


――あなたの傍に行きたい