「慎重にいくって…どうするんです?」


興味津々の沖田は土方に詰め寄った


「いや、すぐには実行しねぇよ。……一定の間だけ泳がせてから、消す」


「さすが土方さん!とても心強いお言葉ですよ!」


と、同時に沖田は顔をしかめた


どうした、と土方が声をかけるまえに激しく咳き込み出す


「ゴホッ……ケホケホッ!!ゲホッ!……」


「おい!総司…!!」


次第に沖田は意識を失い始めた


朦朧とするなか、土方の焦る声だけが遠くに聞こえる

***

「大事をとって、休ませてください」


土方によって運ばれた沖田は、幕府付きの医者である「松本良順」に診察された


碧も大事と聞き、急いで駆けつけていた


「なぁ…こいつの病は何だ?」


重々しい土方の声が、部屋に響く


静かに寝息をたて眠っている沖田に、松本は視線を落とした


「……まだはっきりとしたことは分からんが」


そう前置きして、彼は言った


「………沖田くんは、労咳かも知れん」


「ろう…がいだと?」


見開かれた土方の双眼は、動揺を隠しきれていない


――労咳


今の世で言う、結核


現代でこそ治療法はあるが、昔は不治の病とされていた


そんな労咳に沖田は侵されていた