教壇の上に立つ。
じ、自己紹介しないとな…。
俺は焦りながらも自己紹介しようとする。
だけど緊張のあまり言葉が思い浮かばない。
そこへ
『せんせー!!緊張しすぎ!もっと気楽にね―』
と、クラスの誰かが叫んだ。
俺はなんで生徒に助けられているんだ…??
でもその言葉で気が楽になりすんなりと自己紹介することができた。
そして俺は…ある子に目が釘付けになってしまった。
始業式の日に欠伸をしていたアイツ。
今もまた欠伸をしている。
窓側の列の一番後ろに座っているアイツ。
”欠伸女”
座席表を見て名前を確認する。
”西城零(サイジョウレイ)”
零か…………。
可愛い名前だな…。
一瞬で俺の脳にインプットされる。
って、一瞬でインプットしてる場合じゃない!!
向こうは生徒だろ?!
恋愛感情を持ち込んではいけない生徒だぞ?!
はぁ~
俺は一度溜め息をつき次回の家庭科でやる調理実習の説明をした。