『あの顔で怒られたら生徒も怯みますよね』


一瞬自分が教師という立場を忘れて

悪いことをした生徒の気分になってしまった



『山田先生は生徒に恐れられてるんですよ??』


伊藤先生はごちそうさま、と言って手を合わせて弁当箱を片づける



『やっぱり…ですか』


分かるな、みんなの気持ち。



『さっ!午後からも頑張りましょう。』


伊藤先生は俺の肩に手を置いて去っていった。



「格好いいですね~」



『げっ…またですか??』


またどこからともなく現れた水谷先生。



「またって失礼な…。

それにしてもあのおじさんくさい笑顔…いいですね」


尊敬の眼差しで伊藤先生の背中を見つめる水谷先生。



『で、何かご用でも??』



「午前中はやけに仲が良かったな、と思いまして」


ニヤッと悪戯っ子のような笑みを浮かべる水谷先生。



『それほどでも。』


俺は作り笑顔を浮かべる



「なんか最近、朝倉先生…生意気になりました??」


なにものですか…水谷先生は!!

俺が生意気だろーが同期だからいいじゃないですかぁ!!

と思いながらも


『気のせいじゃないですか?』


水谷先生の横を通り過ぎた。