―Side 大和―



俺は調理室から出ると


『はぁ~』


と、大きな溜め息をついた。



息が詰まるかと思うくらい緊張してた。


余裕そうな感じで強がっていたけど実は崖っぷちだった。


手にはびっしょり汗かいてたしな…。



”俺、朝倉先生には負けませんよ?”


バカか俺は……。


俺に勝ち目がないことくらい知ってるだろ??


零が誰を見つめているかってことくらい知ってるだろ?



なのにあんな発言してさ…



まあいいかっ!!


どうなるか分かんねぇし、やるだけやってやろうじゃん?!



当たって砕けろ!!



やらずに後悔よりやって後悔だろ!!



頑張れ!俺!!



なんて自分で自分を励ましてみた。


でも本当は涙が出そうだったんだけど。



零…お前に手が届かない俺の辛さ…知らないんだろうな…。



近いうち…お前をビックリさせてやるよ。


待っとけよ、零。




―Side 大和 終―