伝えたいことを伝えられた俺は零から離れた。



「先生の……キス魔。」


零が小さな声で呟いた。



『うるせーよ』




そのキス魔を好きになったのはお前だろ??


俺はもう1度零を抱きしめた。

今は離れたくないんだ。


離れ過ぎて俺はお前に飢えている。


「ん?どうしたの??」


にしても、俺ダサイ。



『俺、余裕なくてだっせーわ。



今だって零のことめちゃくちゃにしそうだったし?

電話だってメールだってしちゃったし?


俺ばっかりでイヤになる。』


いつも俺ばっかり。


夏休みのときだって、我慢できなくなって零の家に行っちゃったし、

今だってそう。


「先生のウソつき。


私からしたら先生なんて余裕ありまくりだよ。


私なんて余裕の”よ”の字すらないからね。


それに先生は大人じゃん?

先生からしたら私なんて子どもでしょ?

だから捨てられるんじゃないかっていつも不安だったんだからね?


私だって…私ばっかりでイヤだったんだから。」


零こそウソつきだな。


高校生はもう立派な大人だよ。

確かに子どもっぽいところもある。


だけど、俺はそこも含めてお前を好きになったんだ。

なのに捨てるワケないだろ??