『卒業生の入場です。』


頭のてっぺんのほうが薄くなってきた教頭が言った。


そうすると音楽がかかり、担任の先生が先頭になって卒業生が入ってきた。


ちなみに副担任の俺と水谷先生は職員用のイスに座っているだけ。



「なんかあっという間でしたよね。」


しみじみと呟いた水谷先生。



『気づいたらもう卒業ですもんね。』


確かに、早かった。


新任でこの学校に来て、零と初めて会った。


で、気づいたら付き合うことになってて、


でも俺の力不足で別れることになっちゃって…。


それでも体育祭でまた付き合うことになった。



「私たちも教師になってもう2年以上経ちましたしね。」


あの、体育祭のときは夢のようだった。


『いろいろありましたよね…。』


俺の誕生日は零の手作り料理を食べた。


あの味、俺は一生忘れない。



そしてクリスマス。


2回目の別れ。


零。


もう俺たちはやり直せないのかな…。


もしかして好きなヤツできちゃったか?


今さら何?

って感じだよな…。


ごめんな、未練がましくて。