『あっ!西城!!

制服のボタン全部つけ直したから。』


車から降りようとした零の背中に声をかける。



「せんせっ!ありがとっ!!」


零は笑顔で答える。


よかった、ボタン付け直してやって。


零が保健室で寝ている間に糸と針を借りて、ボタンを付け直した。


男だけど一応、家庭科の教師だから裁縫は得意なんだよ。



「じゃあまた今度ね!!」


零は俺のほうに振り向くことなく、車を降りた。



『あ…ちょっと待って。』


マンションに入って行こうとした零を呼び止めた。



零、俺はお前に言わなくちゃいけないことがある。



『今から言うことは誰にも言うなよ。』


そう前置きして俺は深呼吸した。



【ドキドキドキ】


胸の高鳴りがヤバイ。



何こんなことで緊張してんだ、俺。