「か、垣本くん…や……やめて…」



階段を昇っている間にも零の叫び声が聞こえる。


その声は震えていて、泣いてるようだった。




「誰か助けて…助けてよ!!」



零、もうちょっと待ってろ。


もう、今すぐお前のところへ行くから。



『西城…諦め悪いぞ。


ここはどこからも死角になってるんだ。



お前の声が届く訳ない。』


と、男の声が聞こえる。



別棟の最上階、4階に着いた。



4階のどこかの教室から聞こえる。



『クッソ…。』


4階には教室が5つほどある。



5つの教室の中からたった1つ。


順番に回るのもいいかもしれない。


けど、いち早く零のところへ行きたいんだ。



そのとき、



「先生、助けて!!」


と、零の声が聞こえた気がした。