大和が帰ったあと、零と並んで洗い物を始める。



「ねぇ?せんせ…??」




『ん?どしたぁ??』



俺は手を動かしながら顔だけを零のほうに向ける。



「なんか懐かしいなぁーって思わない?」



”懐かしい”


そんな風に振り返られるってことはもう”過去”なんだよな。



『そうだな…。

懐かしい気がするよ。』


そう答えたあとに、俺は付け加えた。



『でも、いい思い出だったよ。』


と。



『西城は…いい思い出だった??』


俺は零の目を見ようとした。


でも零が視線を逸らしたから俺は零の方を向くのをやめた。



「うん。いい思い出だった。」


少しの沈黙のあと、零が答えた。



『なら良かった。』



ホントに良かった。


もし


”最悪な思い出だった”


なんて言われたら、俺はどうしようもないくらい落ち込むところだった。