俺はものすごく苛々して


『これ以上は答えるつもりないから』


と言って教壇に名簿を叩き付けた。


そしてクラスは静まりかえった。


きっと、俺のただならぬ雰囲気を察知してくれたのだろう。



ってか察知するの、遅い。


もう今、下向いたら俺の目から雫が落ちるだろ??


俺は歯を食いしばる。


そして少しぼやける黒板に字を書き始めた。



授業中に泣くとか…教師失格だな。


『せんせー!教科書、ロッカーに置いてあるから取ってきてもいいですか?』


クラスの誰かが叫んだ。


俺は答えることができなかった。


だって…今、声を出したら


せっかく引いてきた涙がまた溢れるかもしれないだろ??


『せんせー?!いいですか??』


俺は


『忘れ物したから、取ってくる。』


と、言って急いで教室を出た。


これ以上…あそこにはいられない。


零の視線が怖い。



俺はトイレに駆け込み顔を洗った。