祐司は俺の胸ぐらを掴み、
『なんで分かってたのに引き止めなかったんだよ?!
お前の幸せは零ちゃんの幸せだろ?
零ちゃんの幸せはお前の幸せなんだろ?!
どうして追いかけなかったんだよ?
どうして追いかけてお前の気持ち伝えなかったんだよ?!
お前……意味分かんねぇんだよ!!』
静寂した海辺に裕司の声が響いた。
『そうだよ、俺は意味の分かんねぇ男だよ。
本当は追いかけて抱きしめたかった。
でも俺、そんなに格好よくねぇから……
それにもし零が抱きしめた俺の手を振り解いてみ?
俺は一生立ち上がれねぇよ……』
俺は頭を抱え込む。
それに…こんな臆病な男じゃ零を守っていけねぇんだ…
『なんかお前…臆病になってない??
年とるにつれてどうしても臆病になっちゃうのも分かるけど、
それでも自分の気持ちを抑えるべきじゃねぇと思うよ??』
いつもの落ち着きを取り戻した祐司。
『もう…いいんだよ。
俺、零が卒業するまで待つから』
そう言って俺は立ち上がった。
今から家に帰ればもう深夜0時だろう。
明日学校あるのに俺は大丈夫か?
『そっか。またなんかあったら言えよ??
零ちゃんがいなくて淋しくなったら
酒でも交わそうぜ??
じゃっまたな!!』
祐司は車に乗り込み帰って行った。