『お前…もしかして泣いてる??』
裕司…なんなんだ?お前は……
『泣いてるワケねぇだろーが』
でもいくら隠そうと思っても鼻声は直らない。
バレるのは仕方ないのか??
『ウソつけ。
お前のことならなんでも分かるんだわ。
で、どーしたんだ??
零ちゃんとなんかあった?』
……………コイツ、うぜぇよ。
『…零と、別れた。』
自分で口にすると急に現実味を帯びる、零との別れ。
『はっ?!冗談だろ…??』
裕司はかなり驚いている。
それも仕方ないか…
『こんなこと冗談なんかで言えるかよ』
ふぅ~と煙を吐き出した。
『お前さ…タバコに走るなよ。
そんなにキツイ??』
キツイとは精神的にって意味だろう。
あぁ…キツイよ。
泣き叫びたいくらいキツイよ。
『で、お前の用事は??』
なにも言いたくない俺は話を逸らそうとした。
なのにコイツは…
『俺の話なんてどうでもいいんだよ!!
そんなことより、秋平!
お前、今どこにいるんだよ??』
今……海だよ、海。
『海』
それだけ言った俺は電話を切った。
きっと裕司はここへ来る。
この場所は高校の頃にバイクを走らせていつも裕司と来ていた場所だ。
アイツなら必ずここへ来る。