でも俺は…



『それで事実なんですか…?』


零が好きだから…



『それは…事実じゃありません』

だからきっぱり言い切った俺。


『そうですか…。
その言葉を信じましょう


でもあまり1人の生徒と
仲良くなさるのは遠慮していただきたい

今回みたいな勘違いが起こることもありますので』


あっさり引き下がる教頭。


『はい。分かりました』

絶対にまだ怪しんでるよな…


そう思いながら俺は校長室を出ようと足を動かした。


『あっ朝倉先生。

いいですか?覚えておいてください

もし今後…『西城!!』


そのとき廊下のほうから零の名前を呼ぶ声が聞こえた気がした。


『もし今後こういうことが私の耳に入れば
そのときは朝倉先生が否定しようとも、
先生にも西城零にも処分を与えます。』

俺は一度止めた足をまた動かす。


『失礼しました。』

校長室を出ると一気に気が緩む。


『朝倉先生。』

俺の名前を呼んだのは伊藤先生。


『はい…?なんですか??』

首を傾げると伊藤先生は


『もう自分からは手を離すべきではありません。

先生は1人じゃありませんから。
何か困ったことがあれば、いつでも相談してくださいね』

と、意味の分からないことを言った。


”もう自分から手を離すべきではない”

っていうのは零のことだろう…


でも…どうして…いきなり??

まさか…伊藤先生はさっきの会話を聞いていたのか??