まさかと自分の目を疑った。
でもやっぱり・・・。
あの人はやっぱり千影日瑠斗。
極秘に操作され、私達家族にしか公開されていない犯人候補だ。
お兄ちゃんを誘拐した・・・。
何であの人がここに!?
私はその事で頭がいっぱいになっていた。
携帯で警察を呼ぶことも出来るのに。
一瞬で恐くなった。殺し屋だ。無駄な抵抗は出来ない気がした。
「夕食を作るから食べていってよ。瑠緒。」
ぼーっと悩んでいた私は男の人に話しかけられた。
なぜか、私を瑠緒と呼んだ声が昔お兄ちゃんが呼んだ声と重なって聞こえた。
「いえ私は結構です・・・。親も待っているので・・・」
本当は親なんかどうせ家にいないし、私の心配なんて一切しないんだけど。
「嘘つくな。昔から強がって嘘つきやがって。話があるんだ。だから強制ね。」
その言葉に何か引っかかりを感じ、一緒に食べる事になったのだった・・・。