振り向くとショウが座っていた。
4人掛けの席に1人で座っている。『ここ座れよ。』と向かいの席を指差した。

私はショウと向かい合って座り『おつかれ』と声をかけた。

『お前も大変だな。』とショウが苦笑する。

『さっきはごめんね。』
私は謝った。


ついさっき、ショウとすれ違った。
でも彼が一緒にいる時、私に声をかけると、しつこく問い詰められることをショウは知ってる。

だから目は合ったけど素通りしてくれた。


『あいつといて楽しいか?』

『悪い人じゃないんだよ。』

『そうか。』

それから地元の駅に着くまで二人は何も言葉を交わさなかった。


でも不思議と気まずいことはない。

むしろ心地よいくらいだ。

電車で揺られて数十分。
地元の駅に着いた。

『じゃあな。』

『またね。』

家は反対方向なのでここで別れた。


『ワコ!』
ショウから呼び止められた。
『何?』
私は聞いた。

『がんばれよ。』
ショウは笑いながら言った。
『ありがと。バイバイ。』
手を振った。