思い出した。


青山章大。小・中学校と一緒だったが同じクラスになったことはないし、部活も全く違う。

っていうか高校は別々なのに何で『○○高校だった青山です。』なんだよ…


『あぁ。誰かと思った。私は白石羽湖です。結婚して今は名字違うけど。久しぶりだね。元気してる?何年ぶりかな。』

私の返事にショウはこう返した。

『やっぱりな!そうじゃないかと思ってメールしてみた。元気か?』


そう思ってたんなら始めっから名乗れよ!
内心そう思いながらも返信した。
『もう10年くらい会ってないのにこんなとこで再会するなんて不思議だね。っていうか顔見えないから再会じゃないか…』

『あの頃は若かったなぁ(笑)帰りの電車で一緒に帰ってたのがいい思い出だな。』

私もショウも隣町にある高校に通っていた。
高校は別々だったが、方向が同じだったのでよく同じ電車になっていた。

その頃、私には付き合っていた彼がいた。
彼は束縛するタイプで、私が他の男の子と話すことはもちろん、会釈でもしようものならすぐ機嫌が悪くなり『今の誰?』とか『あれ○○高の制服やね?』と聞いてくる。
学校の友達や地元の友達でも、先輩でも後輩でも。

男を一切近づけない。

街中で友達とすれ違っても、友達みんなが気を利かせ声をかけずに通りすぎて行く。



彼は悪い人ではないけれど、一緒に居ると少し窮屈と感じていた。

もともと、女の子のグループとかで上手くやっていく自信がない私は男の子の方が一緒にいて気が楽だし、素の自分が出せている気がした。


学校帰りに彼が私を駅まで見送ってくれる。
私はいつもの電車に乗り込み、空いた席を探していると『おい!』と声がした。