「凜っ、無事か!?」

「父上!」

殿が向こうから駆けてくる。

凜は立ち上がろうとしたが…

「…あり?」

血を流したためか、ふらついてしまう。

「…大丈夫ですか?」

俺が受け止めたからいいけど…危なっかしいんだよ…。

「蘭…ごめん」

そんな俺たちのやりとりを見ていて…殿が意味深に笑う。

なぜ、とは思ったけど、今はやるべきことがある。

「殿、戦況は」

「いやの…。次から次へと出てくるのじゃ」

…どんだけいるんだよ、山賊。

「では、私も一緒に」

「うむ、助かる。…相手は素人同然。余裕じゃろ」

「はい。…借りは必ず、倍にして」

凜を傷つけたこと、後悔させてやる。

「父上、あたしの剣は?」

!?おまっ…馬鹿か、凜!

俺は思わず目を見開く。

「凜、戦う気か!?」

「え…うん。あ、怪我なら大丈夫ですよ。蘭が手当てしてくれましたし」

何か問題でも?と言いたげな表情を作る、凜。

「問題大ありじゃ!お前は女じゃぞ!?」

「だから何だと言うのです?あたしだって、戦えます」

「…凜姫様!無茶はなさらないでください!」

とは口でいいつつ。

俺はきっと凜の考えが変わらないことを予想していた。

案の定、凜は強い意志を宿した瞳で、殿を見据えている。

そして殿は不敵に笑って…。

「父上?」

「合格じゃ、凜!」

「…へ?」

そりゃ、へ?だよな。

何が合格なんだ?