「あたしだって…誰かがあたしのせいで怪我するのは、耐えられないよ?」

そう答えることくらい、分かってる。

凜は姫。

守られるのが当たり前の存在。

姫のせいで怪我しようが、そんなのは当たり前のこと。

本当なら、凜が苦しむ必要はないんだ…。

「…っ…」

でも、それでも。

「もう、無茶しないでください…」

お前が無茶すると、俺たち家来の身が保たない。

「それは…」

なおも言葉を濁す、凜。

「お願いですからっ…。ちゃんと俺が守るからっ…。もう傷つけさせないから…だから…」

どうすれば、お前を守れる?

大人しく守られてなんてくれない姫。

「だから……無茶…するな…っ」

自分の感情を、制御できなくて。

俺は凜を抱きしめた。

「ら…ん?」

ごめんな、今だけ、こうさせて。

「ごめんなさい…ごめんなさい…守れなくて…ごめんなさい。結局、俺は変わってない…結局、あなたを守れない…」

弱くてごめん。

弱いから、今…救ってほしくて凜を抱きしめてる。

…逃げてる、だけなんだ…。

「守ってもらって、ばかりだよ…?」

凜、なんでそんなに優しいんだ。

俺なんかに…優しくすんなよ…。

「…あのときは、逃げるだけしかできなかった。今度こそはって…思った…のに。戦えるって…思ったのに…」

また逃げてる。

変われてないんだ。

凜を…俺は守れない。