とりあえずの応急措置は済ませた。

「ありがと…」

「あとは、俺らがやります」

凜を傷つけた代償は高いぞ…?

「いや…あたしも」

「何を言うんです!?」

本当に馬鹿なのか、凜!?

お前は怪我していて、しかも女の子なんだぞ!?

本気で怒っているのに、凜は。

「蘭…顔ひどい」

誰がそうさせたんだよ。

「…笑っている場合ではないでしょう!?…少しは…俺らの気持ちも…」

考えてくれよ…。

心臓が持たねえよ。

「蘭…?」

「…本当に…怖かった…」

敵の前に飛び出していくもんだから。

「そりゃ、戦いは誰だって怖いよ?」

…戦いなんか、怖くねぇよ。

戦えば、お前を守れるんだから。

「違うっ。あなたを失うかと思うと…怖くて…」

俺にとって一番怖いのは。

何よりも耐えられないのは。

お前を失うことなんだよ…。

「ごめん。けど、守れたよ?蘭の母上」

にこっと笑って、凜は言う。

そんな風に笑うなよ…。

「確かに、母上を助けてくださったことは、とても感謝しています」

凜が助けてくれなかったら、母上は…。

「でもっ、たとえそれでも、あなたが怪我をすることは…っ…」

耐えられない。

凜に聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。

耐えられるわけがない。

お前だって…大切な人が怪我したら、耐えられないだろう?