ここは危険なのに…何故母上がここにいるのか、分からなかった。

でも…きっと、海に行っていたんだ。

母上は海がお好きだから。

そんなことよりも!

このままだと不味い。

山賊たちの目が、狙いが。

俺や凜よりも母上にいっている。

母上は戦えない。

武器も何も持っていない。

俺が、守るしか…!

「早く逃げて!危ないからっ」

凜の叫びも、恐怖に捕らわれた母上には聞こえない。

怯えた瞳で、近づいてくる山賊を見ている。

…恐怖で、動けないんだ…。

俺は母上のところへ行こうとするも、他の奴らに足止めされる。

「死ねっ、この女!」

山賊が、母上に向かって…剣を、振り下ろした…。

「母上ー!!」

ああ、結局俺は何もできないのか…?

母上を守ることも、凜を守ることも…。

自分の無力さに、腹が立つ。

その時…凜が、母上に向かって走って行くのが見えた。

…凜…?

まさかっ!!

「お待ちください…凜姫様ー!!!!」