戦いながらも、凜が無事か確かめる。

…にしても、人数多いな。

さすがに一人は不利か…。

「よそ見してる暇あんのかよ?」

いきなり後ろから斬りかかってくる。

「はぁ?お前らこそ、それで出し抜いたつもりかよ」

そんな気配、とっくに読めてんだよ。

人数は不利だとしても、相手は山賊。

力としては…余裕の相手。

…凜、人質解放、成功したみたいだな。

そんな凜を、後ろから山賊が襲おうとした。

「…凜姫様、後ろっ」

気づけ、凜!

凜は間一髪で、短刀で止めた。

「…ちっ、もうちょいだったってのによぉ」

俺と凜は、背中合わせに立つ。

これなら、お互い庇いあえる。

俺は別に平気だけど、このままだと凜が危険だ。

「蘭、助かった」

「いえ…。敵が多すぎます。…できれば、下がっていてもらいたいのですが…」

凜が下がっててくれるはずないよな。

「下がるはずないだろ。…蘭一人にはさせないよ」

やっぱり、想像通りの返事。

全く…。

嬉しいけど、危険なことには関与しないでほしい…ってのが本音。

だけどま、これが凜だよな。

仲間を見捨てない。

…そういう、優しすぎて、強い姫なんだ。

「はぁ…。では、仕方ありませんね。殿たちがお見えになるまで、二人で…」

「ああ。頑張るしかないでしょ」

「…くれぐれも、無理なさらぬよう」

「できればなっ」

っつ!?

だから、危ないんだって、凜!

ああー、本気出したいんだけど…一般人がいれば、危害を加えることになってしまう…。

本気でいければ…凜に無理させることはない……はず。