「…何者」

殺気を込めて、言ってやった。

「…覚えていない?それもそうか。お前達は幼かったからなぁ」

相手の頭っぽい人が、言う。

…会って、いるのか?

必死に思い出そうとするが…分からない。

「蘭、こいつら…山賊だ」

ああ…あのときの。

「……思い出しました。ならば余計、許すわけにはいかない…!」

凜に与えた恐怖、そして今のも…全て倍以上にして返してやる!

「復讐しにきたんだよ。…凜姫をこちらに渡せ」

「断る。なぜやすやす凜姫様を渡さなければならない」

即答した。

なんでお前らになんかに…凜を渡さなければならねぇんだ。

ふざけんな…。

怒りで、どうかなってしまいそうだった。

「そうか。では仕方ない…戦うか。貴様一人で」

「…好きにしろ。俺は負けねぇ」

絶対、負ける訳にはいかないんだ。

命に代えてでも。

凜を…愛する人を、守り抜く。

そのために、俺は戦う。

「…誰か、武器を持ってこい!あたしが扱えるものを!」

凜が、叫ぶ。

「凜姫様!短刀しかございません!」

「……仕方ない…。短刀を貸して!」

「どうぞ!」

短刀を受け取る、凜。

でも短刀なんかでは満足に戦えない…。

だったら、凜がやることは一つ。

「凜姫様は戦わないでください。…人質の解放を、お願いします」

俺は小声で凜に耳打ちした。

これなら…俺が相手を引きつければ、凜の安全は確保できるだろう。

「…分かった」

凜を守るためにも、俺は相手の中に入っていった…。