「きゃああぁぁ!」

いきなり響いた、叫び声。

「…蘭っ」

「はい、行きましょう」

俺たちは声のしたほうへ向かう。

そこには、汚い形をした男どもが…女を拉致していた。

…なんか最近っていうか…こういうの多くないか?

こうも俺が来てから頻繁に起こるもんなのか?

「お母様っ」

…え…。

「美奈子の…母上…」

また、この子がらみかよ。

なんで、この子たちが怖い思いをしなきゃいけないんだ。

「…助けてやるから、動かないで」

おい、凜。

武器もなしで戦う気か?

相手は男で、武器は様々。

危険すぎるとかいう問題じゃなくて、死にに行くようなもんだ。

「美奈子。…あたしの父上を呼んできて?」

「…でも…おかあ…さまが…」

「必ず、助ける。そのためには、父上の力が必要なの」

「……分かりました…。呼んできますっ」

この子は…強い。

自分の母上がどうなるか分からないのに…助けるために、走っていった。

泣き出したいだろうに、我慢して。

「凜姫様は、下がっていてください」

大丈夫。

君の母上も、君も…凜も。

俺が、絶対に守り抜く。

「………分かった」

凜が、大人しく下がってくれた。

…さすがに不利だって、分かっているのだろう。

凜は馬鹿じゃないから。