「蘭、終わった。城下町に行こう」

「……はぁ…」

全く、凜は…。

「何、嫌?ならいいよ。一人で…」

「それだけはおやめください!行きます、行かせていただきますっ」

一人でなんて、絶対行かせない!

危なすぎるんだよ!

「じゃあ、行こ?」

「…分かりました…」

なんか、うまい具合に乗せられた気がしないでもない。

まあ、それが凜…ってことにしておこう。




城下町についたら、さっそく子供たちが寄ってきた。

…いいな、身分なんて関係なさそうで。

「凜姫っ!美奈子と遊びましょ~」

「いいよ。蘭も遊ぶ?」

「いえ…私は…」

困った。

嫌ってわけじゃない。

「あれ、子供嫌い?」

「いえ、そういうわけではありませんが…」

でも…思い出してしまうんだ。

子供を見ていると…幼かった凜と俺を。

だから…苦しくなる。

「私は、凜姫様についているだけでいいです」

「そう?じゃあ、いてよ」

「はい」

凜はすぐに子供たちと遊び始めた。

…楽しそうに遊ぶなぁ。

凜も子供に戻ったみたい。

…子供の頃は、身分なんてなくて。

ただ普通に凜が好きだった。

なのに、今は…

普通だったことが、普通にできない…。